No.007 真贋の判定 

 2024-06-25 gooブログ掲載 
通勤途中にある摂津伊丹廃寺跡地は、住宅街の中にある小さな史跡で、近隣住民の憩いの場になっています。

ここには、大きなクロマツが10本ほど植栽されていますが、ある日仕事帰りに立ち寄ったら、立派なマツボックリがたくさん落ちていました。

よく見ると、アカマツのマツボックリで見た尻尾が欠損したリスのエビフライのようなものもありました。ここは住宅街のど真ん中でリスはいないので、これらはすべて贋物のエビフライと考えて間違いないでしょう。

ところが、それらの中に贋物なのに尻尾がついたものが2つ混在していたのです。アカマツのマツボックリは比較的小さなものが多いので、踏まれるとほとんどは尻尾に相当する部分が欠損してしまいますが、大きくて頑丈なクロマツのマツボックリだと、このように尻尾が欠損せずに残ることがあるみたいです。

それにしても、見た目では尻尾がある贋物と本物はまったく区別がつきませんね。リスがいないところで採集した事を知らない第三者がこれを見たら、きっと本物のリスのエビフライだと思ってしまうのではないでしょうか。
そんなわけで、尻尾に相当する部分が無いものは、マツボックリの大小にかかわらず、ほぼ贋物と判断して間違いないと思いますが、尻尾が有るものについても、それを採集した履歴が判らなければ、真贋の判定は難しいのではないかと思います。

(注)
これは、エビフライの尻尾が無いからといって、必ずしも贋物というわけではないことを示す例です。たくさんのリスが生息する人気のないテーダマツの林で採集したものですが、ここのリスは食いしん坊が多いみたいで、ときどき尻尾が食いちぎれそうになるまでマツボックリをしゃぶりつくしたエビフライを目にすることがあります。


(追記)
後日、師匠からコメントをいただきました。
クロマツの木の下で見つけた贋物のエビフライは、アカネズミのエビフライによく似ているとの事でした。摂津伊丹廃寺跡地にアカネズミが生息しているかどうか定かではありませんが、リス以外の齧歯類による可能性も考えられるということですね☆
あと、齧歯類はマツボックリの種を食べますが、食べカスがきれいなエビフライになるのは、リスの他にムササビぐらいだそうです。捕食動物によって食べカスの形態に差があるのは、切歯の違いによるのではないかとおっしゃってました。